合意形成なしの核廃棄物処理場には反対

ruiikumi2007-01-26

 田嶋東洋町長が突然昨日原子力環境整備機構に、町の公印を押し、高レベル放射性廃棄物最終処分場へ応募したという報道には仰天しました。
 既に東洋町民の6割が最終処分場反対の請願署名をし、町議会でも反対意志を示したばかりであるのに。

 橋本大二郎高知県知事も「町民の合意形成がされているわけではないので、原子力環境整備機構は受理しないように」と緊急記者会見で意思表明されました。当然の意見であると思いますね。

 先日も隣の自治体である室戸市議会で「高レベル放射性廃棄物最終処分場立地反対決議」を採択したばかりです。徳島県側の自治体も反対表明をし、徳島県知事も反対の意思を表明しています。

 これほど反対意志が強いのに独断専行して田島東洋町長は応募に手を上げたのか?それは応募すれば10億円の交付金が町へ交付されることを当てにしてのお話だからでしょうか?

 しかしその「代価」はとてつもなく大きなものとなることは予想されますね。東洋町内外の反対運動は激しくなるでしょう。立地推進派も賛同する町民の署名200人を集めたと報道されています。東洋町議会にも賛同する町議はおられます。町議会も町民も2分した激しい対立が今後予想されます。
Umetatemm_4
(処分方法については、まだ確立されているようには思えません。)

 かつて似たような現象が旧夜須町(現在の香南市夜須町)でもありました。1990年ごろのことでした。夜須町の大手の浜にマリーナを建設することが中心となるマリンタウン計画でした。

 巨額の漁業保証金と、開発に伴う町内への投資効果を強調する当時の町長と、珊瑚の生態や、安全面、採算面への疑問を表明した反対派町民の間で激しい対立がありました。漁業組合での激しい対立と抗争。推進署名も町内の過半数。反対署名も町内の過半数をしめす事態となりました。

 そして賛成・反対の渦が渦巻く中、1991年にマリーナは着工されました。しかし世の中はバブル崩壊となり、激しい町内の対立に嫌気がさした進出企業も撤退。1991年に就任した橋本大二郎知事はやがて、採算面と安全面を考慮しマリーナ建設を凍結。工事は中座したまま現在に至っています。

 普段は顔見知りの町民同士が町内の喫茶店であっても挨拶もしない状態が長く続きました。訴訟もおこりました。計画発表からもう20年を経過していますが、対立のしこりがすべてなくなったわけではありません。

 東洋町長は信念に基づいて独断専行したのでしょう。仮に応募が原子力環境整備機構が受理し、10億円が交付されるようなことになったとしても、失うものはとてつもなく大きい。

 地震の危険性、風評被害。なにより町内の分裂と対立は一番深刻です。
 国策というのであれば、「合意形成」が第一です。合意形成を無視した応募は論外であると私は思います。
Shimozidenteimm

(1947年の昭和南地震高知県全域は地震津波の危険地域でもあります。)

 高レベル放射性廃棄物最終処分場については、処分方法が確定しているとは思えません。この間原発を推進される人達の著作物を何冊も読破しましたが、詳しく書いてはいません。曖昧な記述です。

 国策という割には情報が公開されていません。情報公開とは無縁な田嶋町長の「決断」は横暴であるし、対立を生み出す「副作用」も引き起こされるでしょう。
 合意形成と情報公開を無視した東洋町長はただちに辞職すべきでしょう。