「地方自治の実験」-東洋町

ruiikumi2007-05-20

 4月22日の東洋町長選挙は、高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査を受け入れるか否かの「住民投票」でありました。結果は反対を表明した沢山保太郎氏が有効票の70%を獲得し圧勝しました。

 翌日から東洋町役場に登庁した沢山新町長は、原子力環境整備機構へ電話と、文書での文献調査取り下げの申し入れ、近隣市町村への挨拶、高知県徳島県知事への表敬訪問を行いました。そして国側は正式に東洋町への高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査を正式に白紙撤回しました。

反核だけで動いたわけではないと思う

 東洋町のその後はみなさんあまり経過をわかっていないではないかと思います。「反核ステッカー」は確かに有効でありましたが、東洋町の人達が皆「反核運動」「原発廃止運動」で動いていたかと言えばNOであると思います。環境原理主義者でもないと思います。

 失業率が15%近くになり、町内に職場がない人の多い東洋町。お金を積めばなびくと思いきやそうはいかなかった。その原因は核のゴミ推進派の落ち度があり、あまりに行動履歴がひどすぎたと言うことにつきます。

 沢山保太郎東洋町長はどんどん可能な限り、差しさわりのない限り町の情報公開をしています。役場前のコイン駐車場が町営だと思っていたらそうではなく、別の団体が全額吸い上げていたとか。白浜海岸も同じような状況。

 いままで東洋町では一部の人たちだけに特権が認められ、既得権益化していたようです。今回の高レベル放射性廃棄物最終処分場の旗振り役もそうした人達が中心だったので、大多数の町民からNO!が突きつけられました。

 情報公開と住民参加の手法をやればやるほど沢山保太郎町長の信頼性は上がるでしょう。そういう意味では今後の展開には私は楽観しています。


 5月20日には、日曜日ですが臨時東洋町議会が開催され、すべての核廃棄物を町内に持ち込ませない趣旨の「核廃棄物拒否条例」が可決成立する予定です。
 「もう反核町長沢山保太郎氏の役目は終わった。」「次は多選知事橋本大二郎氏の対抗馬で県知事選挙に出馬すべき」という声も県民の一部にはあるようです。

 沢山保太郎氏はオンブズマン活動や、室戸市議時代に、行政の不正を追及することをされてきました。自費で「室戸市民新聞」を発刊、市民所帯に配布してこられました。オンブズマンとして高知県庁の情報開示や住民監査請求も何度もされてこられました。

 沢山保太郎氏を「反体制のヒーロー」「反核運動の旗手」と見なす人もいるいでしょう。しかし5月13日に沢山保太郎氏に自分のコミュニティFMの番組で出演いただいた印象では「住民参加と情報公開でのまちづくり」「自然環境を活用した身の丈にあったまちづくり」を本気でめざしています。。


 住民参加で自然環境を活用した身の丈にあったまちづくり

 「白浜海岸に交流拠点の直販市をつくりたい。道の駅のようなもの。今まではいろいろ障害があり出来なかった。でもそれは取り除いた。住民参加と情報を公開していけばなんとか活路はあるだろう。」

 5月15日ですが朝1番に沢山保太郎東洋町長は高知県庁へ。まず健康福祉部を訪問。午前9時半に県民室で窪則光さんとも待ち合わせし、一緒に高知県議会の会派「南風」をお訪ねしました。

 南風は2人会派。元夜須町長の清藤真司県議と、RKC高知放送のラジオ・テレビで活躍されたふぁーまー土居県議。ふぁーまーさんには東洋町長選挙の応援にも行っていただきました。

 主な話は東洋町の白浜海岸に地元の産物を販売する「道の駅」がつくれないかということですね。清藤さんは夜須町長時代に、道の駅やすの運営に関わられていました。町長経験者としての助言もいろいろいただいたようです。

 ふぁーまー土居県議は高知県下のあらゆる道の駅や、生産者の直販所もよく知っておられます。取材で訪問されていますし。豊富な経験のある県議の助言をいただいたことは、沢山町長にも心強かったと思います。

 それから県庁5階の土木部海岸課へ沢山町長は行かれましたので、同行しました。対応されましたのは海岸課課長の松本州兄氏、課長補佐の楠瀬洋氏、チーフ(管理課整担当)の依岡隆氏でした。

 「厳密に言いますと道の駅となると道路行政の管轄、海岸整備ですから海の駅ということで(機能や狙いは同じ)で交流拠点や直販所をこしらえることは可能ですよ。」

「簡単な施設の計画図などをこしらえてください。室戸には県の地域支援員もいますし、地元住民の皆さんがたと情報交換かたがた会合を開きたい。」と実に前向きな話でした。

 クリアしなければいけない問題はいくつかありますが、「善意の協力者」の輪が出来つつあるようです。地元住民や行政関係者、町外サポーターもふくめた「ワークショップ」をやればうまく行くと思います。

「関西に東洋町にゆかりのある人が数万人います。(現在町の人口は約3000人)。なんらかの協力を求めたい。その方法についてはいろいろ思案中。」と沢山町長は楽しそうに話されていました。

今日休日に開催されます東洋町議会にて[核廃棄物拒否条例」が採択される予定です。記念の集りも開催されるようです。一応この問題にはけじめをつけ、今後は住民参加のまちづいくりを東洋町は実行していくことでしょう。